相続人申告登記【真岡市 相続】
こんにちは。
上三川町の司法書士の市村です。
今回は、相続人申告制度のお話になります。
なぜ相続登記が義務化されたのか
日本では長年、相続登記が任意だったため、多くの方が手続きを先延ばしにしてきました。
その結果、以下のような深刻な問題が発生していました。
- 所有者不明土地の増加:登記名義が何世代も前の故人のままで、現在の本当の所有者が分からない
- 空き家・荒廃地の増加:管理責任者が不明確で、近隣に迷惑をかける
このような社会的損失を防ぐため、不動産登記法が改正され、令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続人申告登記の内容
相続人申告登記は、正確には「報告的登記」と呼ばれるもので、権利関係を確定させるものではありません。
あくまで「相続が発生し、申告者が相続人の一人である」という事実を法務局に知らせる手続きです。
相続登記との比較表
項目 |
相続登記 |
相続人申告登記 |
登記内容 |
所有権の移転 |
相続人であることの申告のみ |
遺産分割協議 |
必要(法定相続の場合は不要) |
不要 |
登録免許税 |
必要(不動産価額の0.4%) |
不要(無料) |
申請方法 |
相続人全員または代表者 |
各相続人が単独で可能 |
効果 |
所有権が正式に移転 |
義務履行のみ(暫定的) |
相続人申告制度の利用場面
ケース1:遺産分割協議が難航している場合
・相続人の中に連絡が取れない方がいたり、意見が対立していたりして、
3年以内に協議がまとまらない見込みの場合、まず相続人申告登記を行っておけば過料を回避できます。
ケース2:相続人が多数いる場合
相続人が10人以上存在するような場合、全員の書類を集めるだけで数ヶ月かかることもあります。
申請に必要な書類
【1】被相続人の戸籍謄本または除籍謄本
死亡の事実を証明する書類です。通常、死亡届を提出した市区町村で取得できます。
通常の相続登記とは違い。被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて揃える必要はありません。
死亡の記載がある戸籍(除籍謄本)だけで足ります。これが通常の相続登記との大きな違いで、手続きが簡略化されている点です。
【2】申出をする相続人の戸籍謄本
自分が相続人であることを証明する書類です。
子どもが相続人の場合
・自分の現在の戸籍謄本のみ
配偶者が相続人の場合
・自分の現在の戸籍謄本のみ
兄弟姉妹が相続人の場合
・自分の戸籍謄本に加えて、被相続人に子どもがいないこと、
直系尊属(両親・祖父母)が全員亡くなっていることを証明する必要がありますので、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本が必要になります。
【3】申出をする相続人の住民票
現在の住所を証明する書類です。
まとめ
相続人申告登記はあくまで暫定的な措置となります。
遺産分割協議が完了したら、必ず正式な相続登記を行う必要があります。
その後は、遺産分割協議等によって不動産を取得することが確定した日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
このコラムをご覧いただきまして、ありがとうございました。
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