預貯金等の仮払い制度 【相続手続き】

こんにちは。

上三川町の司法書士の市村です。

本日は、法律の改正による預貯金等の仮払いのお話です。

 

預貯金は遺産分割の対象です。

平成28年の最高裁判決により、遺産分割前の預貯金財産は、共同相続人全員が遺産分割協議等の権利行使しないかぎり、

一切の払戻しを受けられなくなりました。

そうすると、被相続人の葬式費用や債務の弁済などのために、被相続人の預貯金等から引き落としができないという

問題点がありました。

そのため、民法909条の2の規定によって、各相続人は、遺産分割協議が成立する前でも単独で、

裁判手続きを経ずに、一部の額について払い戻しを行うことができることとなりました。

 

預貯金金額の3分の1×法定相続分の額 ≦ 150万円

仮払いできる金額には上限額があります。

1.相続開始時の預貯金額×1/3×請求者である相続人の法定相続分(口座ごと)

2.1つの金融機関につき150万円まで

 

【具体例】

相続人は、母と子 法手相続分2分の1 子どもが仮払いを求める。

X銀行  A口座 150万  B口座 300万

Y銀行  C口座 1500万

X銀行では、

150万×1/3×1/2=25万  300万×1/3×1/2=50万

合計  75万円

Y銀行では、

1500万×1/3×1/2=250万 ≧ 150万

よって 150万円

となります。

 

必要書類

1.被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等または法定相続証明情報
2.申請する相続人の戸籍謄本、身分証明書、印鑑証明書

※各金融機関ごとに必要書類が違ってきますので、事前の確認が必要です。

 

家庭裁判所への申し立て

遺産分割調停や審判を前提として、家庭裁判所に預貯金の仮払い申立手続きを行うこともできます。

この場合、仮分割の仮処分という方法により、他の相続人の利益を侵害しない範囲内で仮払いが認められ、

払戻しの上限金額が定められているわけではないのですが、裁判所が関与する手続きですので時間はかかります。

 

 

このコラムをご覧いただきまして、ありがとうございました。

 

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