不動産の登記はなぜ必要?不動産登記を行なう意味を解説

不動産登記とは、対象となる不動産に関する権利や義務等を、法務局を通じて登録し、誰もが閲覧できる制度のことを言います。もし、仮に不動産登記制度がなければ、誰もが対象となる土地の所有権を主張してしまい、真の所有者が不明な中で不動産取引を行わなければならない恐れがあります。このような事態を防ぎ、円滑な不動産取引の場を確保するためにも、不動産登記は重要な意味を果たします。

また、不動産に関する権利の登記を行う事で、第三者に対して所有権や抵当権など様々な権利を主張することが可能になります。

そこで、以下では不動産の登記の効力や、不動産登記を行う必要性について解説します。

不動産登記が持つ3つの効力

不動産登記には「対抗力」「権利推定能力」「形式的確定力」の3つの効果が存在し、これらが機能することによって私たちの権利が守られています。

以下がそれぞれの効力です。

不動産登記の「対抗力」

不動産登記の対抗力が働くことによって、対象となる不動産に設定されている所有権や抵当権などの権利を第三者に主張することができます。この効果が顕著に表れるのは、不動産を二重に譲渡したケースが想定されます。たとえば、Aが所有する土地をBとCに譲渡した場合、仮にBが先に代金を支払い引っ越したとしても、先に登記を行ったCの方が所有権を第三者であるBに主張(対抗)することが可能とされています。

不動産登記の「権利推定力」

権利推定能力とは、対象となる土地に登記が設定されている以上、その通りの登記が存在するものと推定される効力の事を指します。これはあくまでも推定されている効力であるため、もしその登記が事実とは異なるものであり反証が存在すれば、その登記は覆されることになります。

不動産登記の「形式確定力」

登記が存在する以上、国家機関や利害関係者は登記手続きにおいて、この登記された事実を無視することができません。仮にその登記が真の権利が伴っていない偽物であったとしても、手続き上無視することはできないのです。この効力の事を不動産登記の形式確定力と呼びます。

これらの3つの効力が作用することによって、不動産に設定されている自己の権利を第三者に主張することが可能となります。逆に言えば、登記を行わなければ第三者に不動産を「私の土地です」と主張することができないため、自らの権利を保護する意味でも不動産登記は非常に重大な役割を果たすのです。

登記を行う場合とは

不動産の登記が必要になるケースとしては、不動産に対する権利が変動したときがもっとも一般的でしょう。たとえば、不動産を売買契約によって入手したときや相続により入手したとき、新たに建物を建築した際は、所有権などの権利が変更しているため、速やかに登記変更手続きを行わなければ、所有権を第三者に主張することができなくなります。

なお、登記申請は共同申請主義をとっているため、権利部に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者と登記義務者が共同して行わなければならないとされています。

これらの登記は、申請を行う際に必要な書類を集め、対象となる不動産の所在地を管轄する登記所で申請を行う流れになります。また、近年ではインターネットを利用した登記申請も利用できるため、自分に合った方法で登記申請を行うとよいでしょう。

登記は必ず行わなければならないのか

不動産登記の内容を詳しく確認してみると、不動産の物理的・外形的な状況を記録した「表題部」と、不動産の権利に関する状況を記録した「権利部」に分割されていることが分かります。

その中で法律上の義務として登記が要求されているのは表題部のみであり、所有権や抵当権が記録されている権利部に関しては法律上登記を行う義務は課せられていません。

この表示に関する登記は建物を取得してから1か月以内に登記申請を行わなければなりません。もし、1ヵ月以内に登記申請を怠った場合には、10万円以下の過料が課せられてしまう可能性もあるので注意が必要です。(不動産登記法第164条)

その一方で、権利部に関しては法的な義務は存在しません。ただ、後々のトラブルを未然に防止するといった意味でも、権利が変動した際には速やかに登記を行うことが大切になります。

おわりに

以上が不動産登記に関する大まかな概要です。登記を行うことにより不動産の権利を第三者に主張することが可能となるため、結果的に自身の権利が守られることにつながります。実際の登記申請は、法律に沿った厳格な手続きで進められるため、複雑で面倒なケースが想定されます。所有権や抵当権などの重要な権利に関わる手続きのため、不動産登記は司法書士に依頼することをおすすめします。