相続の手続きに必要なことは?手続きの流れや注意点などをご紹介
身内の誰かが亡くなると、自分や家族に相続が発生します。相続は、財産の分割などを行うため、親族間のトラブルに発展しやすい問題であり、トラブルが発生しなかったとしても手続きそのものが複雑な法律問題でもあります。
このような相続の問題は、多額の財産を有した家庭でのみ発生するというイメージがありますが、一般的な家庭でのトラブルも非常に多いのが現状です。また、相続財産がごくわずかであるケースや、財産に借金しかないケースであっても、何らかの相続手続き自体は必要になるため、相続問題はどのような家庭にもかかわりのある問題です。
今回は、そのような相続において、一般的に必要となる重要な手続きについてご紹介いたします。
相続手続きの流れ
相続の手続きは、具体的には以下の流れで進行します。(それぞれの手続きは、個々のケースによって必要な場合と必要ではない場合があります。)
死亡届の提出→遺言書の確認→相続人の確定→相続財産の内容把握→相続放棄→準確定申告→遺産分割協議書→名義変更→相続税申告→遺留分減殺請求
死亡届の提出
身内が亡くなった場合、7日以内に役所に死亡届を提出する必要があります。提出先は、亡くなった方の本籍地、もしくは届け出をする方の所在地を管轄する市区町村役場となります。
遺言書の確認
一般的に用いられる普通方式の遺言には、自筆遺言証書、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。この中で、自筆証書遺言については、法務局での保管制度を利用する場合(2020年7月より制度施行予定)を除き、家庭裁判所の検認手続きが必要となります。
いずれの遺言も、被相続人の生前の意思を表示したものであり、遺産分割において非常に大切な書類となります。遺言に具体的な相続人の氏名等が記載されている場合は、その者が相続人となります。
相続人の確定
遺言書が見つからない場合、又は一部しか発見されなかった場合は、遺産分割協議にて相続財産の分割を決定する必要があります。遺産分割協議の内容は全ての相続人が合意しなければ有効となりません。そのため、相続人が確定した上で、遺産分割協議を行う必要があります。
相続財産の内容把握
相続の対象となる財産は、預貯金や不動産が一般的です。しかし、マイナスの財産も相続の対象となります。そのため、被相続人が抱えている借金などの債務も相続の対象となる点に注意が必要です。
相続放棄
上述の通り、債務等も相続の対象となることから、マイナス財産の負担を免れたい方は、相続放棄を行い、一切の権利義務の承継を免れる方法があります。相続放棄を行うと、その者は初めから相続しなかった者として扱われます。もっとも、相続のあったことを知った日らから3か月以内に手続きを行う必要があります。
準確定申告
亡くなった方が自営業者等であった場合に、亡くなった時点で所得税のある場合は、4カ月以内に申告を行う必要があります。
遺産分割協議書
遺産分割協議の決定事項を記載した書類が、遺産分割協議書です。
名義変更
相続財産が預金口座や不動産などの場合、名義変更を行います。名義変更には、遺産分割協議書の提出が必要となります。
相続税申告
相続には税金が課されます。相続した財産の額が多大である場合に発生し、10カ月以内に申告する必要があります。相続税の支払いを怠ると、無申告加算税として、通常の税率より加算された税金を支払うケースもあるため、注意が必要です。
遺留分減殺請求
相続人であるにも関わらず、遺言などにより全く財産を受け取れない場合、遺留分減殺請求を行うことができます。遺留分とは、相続人が最低限相続できる相続分をいいます。この請求は、相続があったことを知った日から1年以内、又は相続開始から10年以内に行う必要があります。
相続に必要な書類
相続の手続きには、多くの書類が必要となります。
まず、遺言があってもなくても必ず必要になるであろう書類には、被相続人の死亡時の戸籍謄本、住民票の除票もしくは戸籍の附票、相続人の戸籍謄本などがあります。
そして、遺言が存在する場合は、遺言書と、遺言執行者の選任審判所謄本が必要となります。また、遺言が存在しない場合には、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などが必要となります。相続財産に不動産が存在する場合は、登記簿謄本、固定資産税評価証明書、相続人の住民票及び印鑑証明書などが必要となります。
このように、相続の手続きには、状況に応じて様々な書類を提出する必要があり、必要書類は個別のケースによって異なります。詳しくは司法書士などの専門家にご相談ください。